ども!
今回はレンジャー訓練の行動訓練、いわゆる想定訓練についてまとめました!
彼らが国のためにいかにハードな訓練を行なっているかを知っていただけたらと思います。
それではよろしくお願いします!
前回の記事です!
心の骨折者続出!想定訓練
体力調整3−3を無事全員が合格すればいよいよレンジャー訓練の本番です。
大体ここまでで半分行かないくらいの隊員が脱落して元の部隊に帰ります。
ちなみに僕もレンジャー訓練を一度脱落しています 笑
2年目になってすぐにレンジャーに挑戦しましたが、あまりにも嫌で帰りました 笑
そして4年後リベンジして卒業しました。
想定訓練に入る前でそのキツさです。
これとは比べ物にならないくらい想定訓練は辛く苦しい訓練です。
心が折れる隊員が続出しして最後に残っているのは数人なんて期もあります。
実際に何か戦いが起きた想定で非常呼集がかかりますので、当然いつかかるかはわかりません。
ご飯を食べている時、風呂に入っている時、就寝中いつ非常呼集がかかるかわかりません。
0想定
記念すべき一発目の想定訓練です。
これはまだ本番というよりこれからの地獄の訓練の準備のような訓練です。
僕たちの時は午前にみんなで洗濯物を干してた時に非常呼集がかかりました。
すぐに出動できる服装に着替えて必要な武器を用意し、教官から任務の説明を受けます。

任務で必要な武器は地雷や対戦車ミサイル、機関銃などがありかなり重いです。
任務の説明を受けるまでにかかる時間は30分もかけられません。
武器も出すだけではなく、訓練中に部品などが落ちて無くならないようにブラックテープなどで脱落防止をします。
ここも貼る場所などが統制で決まっているので間違えられません。
というか想定訓練まで来ていれば何十回とやっていることなので体に染み付いていますが 笑
そしてチーム(分隊)ごとに分かれてそれぞれの隊長(分隊長)が分隊員に命令を下達し任務地へ出発します。
任務地(出発地)に到着すれば周囲を索敵して安全が確認できれば目的地まで徒歩など目立たない方法で行進します。
ただ0想定はこの行進がなく、やったていで進めて目的地到着から任務開始までの流れをやって終わりです。
1〜3想定
前半の想定訓練は一夜二日です。
もちろん非常呼集はいつかかるか判りません。

画像は午前1時に非常呼集がかかった様子です。
余談ですがこの非常呼集の際、各部隊に特色があり僕の部隊では助教が何人かでコントみたいなことをして非常呼集がかかるというのが伝統でした 笑
大阪の部隊ならではなのかもしれませんが 笑
この想定訓練は前回の記事で書きましたが、本隊とは独立して任務を行います。
となるとどういうことになるのかというとその任務にかかる日数分の物資を自分たちで持たなければいけません。
食料、水分、武器、弾薬、任務で必要な道具・・・
これらを全て持つと荷物の重量は余裕で50kgを超えます。
当然背負ってそのままよっこいしょっとは立ち上がれないので、寝転がってリュックに腕を通したらそのまま回転して亀の姿勢になり4本の手足を使って立ち上がります。
1人で無理な時は周りに助けてもらいます。


1〜3想定は一夜二日ですが僕がいた部隊はそんなの関係なく荷物は多いです 笑
この1〜3想定でも何人かは脱落していきます。
訓練間は安全面にかなり気を使われていますが、溝にはまって骨折して帰ることになってしまった隊員もいました。
4〜6想定
ここからは二夜三日と三夜四日になります。
これまでの疲労などもあり全身特に足と重い荷物を長時間背負うことになるので、リュックを背負い直す作業を怠った隊員はザック症という症状が現れてきます。
ザック症はこの想定訓練間、最も気をつけないといけない症状です。
症状としては腕がまったく上がらなくなり、痺れて力が入らなくなります。
片腕だけならまだ何とかなりますが、両手とも症状が出てしまうと戦力としては全く使えなくなります。
排尿をするときも自分ではできなくなり、バディに助けてもらったりそれ以外もあらゆる助けが必要になるので、ここで完全に心が折れて帰ってしまう事がほとんどです。
僕が1〜9の想定間で一番キツかったのが4想定でした。
完全に自分の責任なのですが、想定訓練が始まると脱走の恐れがあるので外出ができなくなるのですが、想定前の最後の外出の際にレンジャー訓練間は事故などがあってはいけないので車の乗車が禁止されています。
しかしがひょんなことから僕を含めて五人で車に乗って外出していたことが4想定の前に発覚し、全員にペナルティが与えられました。
ただでさえ50kgは余裕で超える荷物にさらに土嚢を持つことになり、担当装備もLAMという対戦車携行弾というロケットランチャーのようなものを持つことになりました。
訓練出発前、装備がない状態と装備ありの体重を測るのですが装備なしで訓練間はかなり痩せているので75kgでした。
そしてその時の装備全てを持って計ったところ、150kg測れる体重計がエラーの表示になりました。
まずリュックのみ測ると80kg、LAMが12kgくらいあるので約90kgの装備ということです。
その時はやったるわい!!!と勝ち気でしたが始まってすぐ絶望を感じました 笑
小休止みたいな時も僕ともう一人がターゲットにされて他の隊員は尻をつけて休憩してても僕たちは立ったままでした。

経験者から見るとこのリュックの重さは確実に50kgもありません。
リュックがペシャンコなので30〜40くらいだと思います。
夜間の行進の時、何回山の斜面からこのまま落ちたら楽になれるかな〜と考えたことか・・・笑
ただ自分が撒いた種であり、この重さを背負って帰ったら伝説になれると思って死に物狂いで道なき道を歩き続けました。
何とか二夜三日歩き続け無事任務を完遂しました。
荷物の重さが尋常じゃなかったので後にも先にもこの4想定が僕は本当に死にたいと思いました 笑
7〜9想定、そして帰還式
もうこのあたりになってくると全員がどこかに故障を抱えています。
腰、肩、膝、心・・・
1日の食事も1〜3想定は1日2食、4〜6想定は1日1食、7〜9想定はバディと二人で一個のレトルトご飯になっていきます。

水分もほとんど飲ませてもらえません。

画像はテレビ番組の追跡中なのでキャップ10杯も飲ませてもらっていますがおそらくテレビ用なだけでそんなに飲ましてくれる部隊はないです 笑
どうしても飲みたいと具申して、一発ギャグで受ければ多く飲ませてもらえたりというのがありました 笑
キャップ一杯15ccほどを大体1〜多くて5杯飲ませてもらえるかもというところですね。
勝手に飲んでもバレないのではないか?と思われるかもしれませんが、想定訓練から帰ってくるたびに点検があります。
飲んだキャップの数をメモされているので、一人一人の水筒に残っている水の量を測られて少ないものがいれば指導を受けます。
雨の時はチャンスで荷物は水が染み込んで重くなりますが水は飲み放題です。
革手袋をずっと装着しているのですが、山の中で木を思いっきり握りしめて手袋に水を染み込ませてそれを見つからないように吸い込んで水分補給したりしました 笑
木の変な味がしますが水分が取れるだけありがたかったです。
余談ですが5想定の時に二人の隊員が脱走を試みてそのまま原隊復帰になりました。
昔は帰りたいといえば結構すぐ帰れたようですが今はすぐに帰れません。
大体帰りたいと言って思いとどまっても、想定の訓練中に駄々をこねて歩かなくなったりして結局帰ることになる事が多いです。
もう帰ると決めた人間は恥など何もなく極限を超えているので精神が崩壊しています。
小さい子供のように泣き叫んで帰ると言って聞きません。
どれだけ同期が言葉をかけても全く聞かず、あまり詳しくは言えませんが助教たちは訓練を進めるために何とか歩かせようとあらゆる手段を取ります。
9想定が始まり、これで最後と分かっていてもやはり歩かなくなる隊員はいます。
ですが励まし合い、ここまで苦楽を共にした仲間で何とか卒業しようとみんなで力を合わせます。
そして無事任務が終わり、部隊の人たちが待つ駐屯地に向かって歩いているときは涙が止まりませんでした。
これまで厳しいだけだった教官・助教が最後だと励ましてくれて本当に感動でした。

そしてこれが帰還式です。
ガッツポーズをしているのが僕です 笑
これまで何回か帰還式を見ましたがみんなやっぱり死にかけている人ばかりだったので、絶対にはっちゃけて強がって帰ろうと決めていました!
また帰還式の順番は、先頭は必ず一番階級が上の学生長なのですが、その次からは教官、助教が頑張ったと認めた順になり、LAMを持って帰れたらトップの成績になるのでそれを狙っていました 笑
目標通りトップで帰る事ができてこれが人生で一番誇れる出来事となりました。
帰還式では空腹が限界なので、リクエストしていたマクドナルドやピザなどが用意されていて本当に幸せな時間です。
卒業して手当てなどはあるのか?
卒業してレンジャーになったからといって給料は上がりませんし手当てもありません。
もらえるのはレンジャーバッジのみです。
でもみんなそんなことはわかっていて、あくまで自分の限界に挑戦して自分がどれだけやれるのか度胸試しみたいなものです。
そしてやはり卒業している人は一目置かれる上に参加できる訓練の幅も広がるので自衛隊生活において卒業して損はないです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
YouTubeなどでもレンジャーについてみれますが、ここまで訓練について詳しく書いている記事はなかなかないと思います!
卒業生でもありますので細かいことも分かりますからね^^
もし質問などがあればどしどしコメント欄からでもお問い合わせからでもしてください!
最後までありがとうございました!
では!